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教育長あいさつ平成27年8月号


                      教科書採択を終えて

教育長あいさつ 8月21日(金曜日)の定例教育委員会で、平成28年度使用の中学校教科書の採択が行われました。傍聴者は85名。教育に対する市民の方々の興味・関心の高さがこの数字に表れています。
  私たち5名の教育委員は、市内中学校の先生方が専門的な視点で調査していただいた報告書を参考にしつつも、一人一人が自らの知見をもとに、対象となる全ての教科書について研究するとともに、真摯な議論を重ね、自らの責任として9教科14種目の教科書を採択しました。
   私も改めてすべての教科書を読みこみました。いずれの教科書も学習者の興味・関心を高め、将来責任ある市民となるための力を身が身につくよう工夫されていました。今更ながらですが、読めば読むほど「これらの教科書を使ってもっと真剣に学んでおけば違う人生があったかもしれないな…」と感じます。「後悔先に立たず」とはまさに真実であり、かつ人間の「性」なのかもしれませんが、自分と同じ思いを持つ子供を一人でも少なくするよう努力することこそが、私たち教育に携わる者の責任なのかもしれません。
   学校教育を離れてしまうと、なかなか教科書を読む機会はないかもしれません。しかしほんの少しだけ目を通してみても、一昔前の教科書とはだいぶ違うことを感じていただけるのではないでしょうか。実は今の教育は、私たちが受けた教育とは内容も、方法も、授業の風景も、また「学力」の捉え方も、測定の仕方も変わってきているのです。
  社会はものすごい勢いで変化を続けています。情報化、国際化の流れはますます進むことでしょう。このような「解のない時代」を生き抜いていくためには、単に知識や技能が身についているだけでは難しいことは明らかです。身に付けた知識や技能を活用して問題を解決したり、論理的に考えて自分なりの「正解」を導き出したり、様々な意見や考え方を調整しながら協力して新しい価値を生み出していく力など、これまでとは違う「学力」の考え方がどうしても必要になります。
   今、文部科学省では、大学入試改革を進めています。新聞報道等でご承知の方も多いとは思いますが、その概要はこれまでの「教科型」「知識重視型」のセンター試験を改め、思考力・判断力・表現力を評価する「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を実施しようとするものです。まさに「解のない時代」を生き抜くための入試改革と言えましょう。このテストは5年後の2020年度の導入がめざされており、計画通りであれば現在の中学1年生も対象となります。
   このような力を育む授業とは、いったいどのようなものでしょうか。たとえば数学においても、単に公式をつかって練習問題の正答を導き出すだけではなく、なぜこの答えになるのか、どのように考えてこの答えを導き出したのかを理解したり説明したりできる力を育む授業です。
   社会科にしても同様です。たとえば一昔前の授業では「大化の改新は645年」等と、教科書に書かれている歴史的事象を「記憶」することに重きが置かれていましたが、どのような経緯で大化の改新が起こったのか、後の歴史にどのような影響を与えたのか、自分はどう考えるのか、等といった、歴史の流れを理解しながら自らの考えをもつことができるような授業が求められています。
  私が専門とする音楽科についても、以前は「技能教科」「実技教科」と呼ばれ、たとえば「夏の思い出」をいかにうまく歌えるかをめざすような授業が行われていました。しかし今は、江間章子氏の歌詞を表現するには、どのような声で歌えばよいか、曲の強弱や速度など何をどう工夫すればよいのかを話し合ったり試行錯誤したりしながら、自分なりの「夏の思い出」を作りだすような授業が行われているのです。
   そうなると当然「授業の姿」も変わってきます。これまでは、静かに机に向って、与えられた学習課題に取り組むような「静の授業」がよしとされましたが、現在はこれまでのように個々人が机に向かってじっくりと考えたり、作業したりするだけではなく、友だちと話し合ったり、自分で考え方解き方を説明したり、図書室やインターネットで調べたり、時には学校外でフィールドワークをしたりという「動の授業」、すなわち活動的な風景に変わってきます。
   無論教育には「不易」と「流行」がありますので、どんなに社会が変化しても変わらない、変わってはいけない価値があります。たとえば「自他の命を大切にすること」はいかに時代が流れても子供たちに教え、育んでいかなければならない教育内容です。また、算数の計算が正確にできるだけ早く解ける力も、漢字を正確に読んだり書いたりする力も、歴史上の出来事を暗記することも、酸素がなければものは燃えないことを知っていることも絶対に必要です。
  またじっくりと教科書の練習問題に取り組んだり、課題解決をするために自分ひとりで考えたりする教室の風景も決してなくなることはありません。
  しかし「それだけではない時代」を子供たちは生きていかなければならないことを、私たちはまず理解しておかなければならないのです。
   教科書には現在の、そしてこれからの教育がめざすべき内容・方法が盛り込まれています。学生時代のつらい思いだがある方もいらっしゃるかもしれませんが、一度目を通されたらいかがでしょうか。小中学校の教科書は、教育委員会指導課に常置しています。お気軽にお立ち寄りください。

教育長 坂田 篤

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