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教育長あいさつ平成28年12月号


教育長あいさつ

 

「顔」

 

 先月は子供たちのたくさんの「顔」に出会うことができました。生き生きと表現する「顔」、力一杯真剣に取り組む「顔」、ドキドキが伝わるような緊張した「顔」、どうすればもっと自分の思いを伝えられるかと試したり工夫したりする「顔」、やり遂げた満足感あふれる「顔」…。そうです。市内小学校で開かれた学芸会、学習発表会で見せてくれた「顔」の数々です。
 
 子供はいくつもの「顔」を持っています。学校の授業で時折見せるつまらなそうな表情も彼らの「顔」ですし、家庭での親の言うことを聞かずに反抗する表情も彼らの「顔」です。逆に興味があることに対してキラキラとした瞳で取り組む表情も、親や兄弟に対して優しい言葉をかけてくれる時の表情も彼らの「顔」なのです。
 
 彼らが幼いころは、親の前でも先生の前でも、様々な「顔」を見せてくれます。しかし成長と共に彼らの「顔」は見えにくくなっていきます。「真剣な表情」を見られることが照れくさかったり、反発する気持ちからあえて心とは裏腹な「顔」をして見せたり、「顔で笑って心で泣く」なんていう高度な感情のコントロールをして見せたり…。
 
 また親にとっては成長と共に子供とのかかわりの時間が減ることも「顔が見えにくくなる」一つの要因になります。学校に入学したとたん、一日のうち30%の時間は子供の「顔」を見ることができなくなるからです。
 
 最初のうちは親が見ていないところで我が子はどんな「顔」を見せているのかが心配で、授業参観も学校行事も多くの保護者が参加します。学校も一人一人の子供の「顔」を保護者に伝えようと連絡帳を欠かしません。しかし、年齢が上がるに従って、友達づきあいやら部活動やらでますます「顔」を見る機会は減っていきます。それとともに保護者の足は学校から遠のき、学校からの情報提供の機会も減ってきます。
 
 無論、これは成長発達の上で必要なことです。いつまでも子供の「顔」を見ていなければ心配…、という保護者は子供の自立を妨げます。また学校も子供の自立・自律に向けて「責任を与えていく」ことが求められるからです。しかしそれでも教師も、親も地域も子供の多様な「顔」を知る努力をしなければならないと強く訴えたいと思います。
 
 ただしその時々に見せる「顔」に対して「ああせい」「こうせい」と世話を焼くべきだと言っているのではありません。「学校での我が子は、家庭で私に見せたことがないような顔をしている…」「「この教科で見せる生徒の顔を、私の授業でも引き出したい…」と子供たちのたくさんの「顔」を知ること、そしてほんの少し「あのときの顔、かっこよかったよ!」と言ってあげること、そして親や教師が自分の接し方について振り返って考えることが、子供たちの健やかな成長のためにはどうしても必要なのです。まさに「手はかけずとも目はかけろ」です。
 
 さて、いじめで尊い命を自らの手で絶ってしまう痛ましい事件が後を絶ちません。いじめを受けた子供は深刻化することを恐れて「偽物の笑顔」を見せることがあります。親に心配かけまいとする思いや、いじめられていることをみなに知られてしまうという恐怖からも「本当の顔」を見せないことも少なくないのです。
 
 決してあってはならないことですが、子供が勇気をもって「本当の顔」を見せてくれたにもかかわらず、それを大人が気付かなかったり、色眼鏡で見てしまったり、見て見ぬふりをしたりすることもあります。今、繰り返し報道されている被災地から避難してきた子供に対するいじめ事件はまさにこのケースなのです。
 
 私たち大人の責任は、一人でも多く、一つでも多くの場面で子供たちの「明の顔」を引き出すことにあります。そして子供たちが見せる、「明の顔」を見せてくれた子供には称賛し、評価し、価値づけ、自信をはぐくみ、また「暗の顔」に気づいた時には、その裏側にある「心」を読み解き、声をかけ、じっくりと話を聞き、共感し、励まし、導く存在でなければいけないのです。
 
 授業中に見せる「つまらなそうな顔」は「もっとわかるように教えてほしい」というメッセージであって、親に「反抗する顔」は「自分の思いをもっと受け止めてほしい」という叫びなのです。私たちはこのことがわかる大人でなければならなりません。「もしかしたらこの子の「笑顔」の裏側につらくしんどい思いが隠されているかもしれない」と慮り、適切な指導・声掛けができる大人であることが私たちの責任なのです。まさに「手は出さずとも心は寄せろ」です。
 
 保護者の皆さんにお願いです。極力多くの機会をとらえて学校に行ってください。そして家庭ではなかなか見ることができない子供のたくさんの「顔」を見つけてあげてください。このことについて食卓を囲んでたくさん会話をしてください。
 
 地域の皆さんにもお願いです。地域で見せる子供たちの「顔」を学校に伝えてください。もちろん「明の顔」「暗の顔」いずれも、またどんなに小さなことでも結構です。できればそんな「顔」に出会った時、一言声をかけてあげてください。
 
 最後に学校の先生方にお願いです。家庭とたくさん連絡を取って子供たちは学校では見せない家庭の「顔」をなるべくたくさん知ってください。そして一言声をかけてあげてください。「明の顔」の情報にはたくさんほめてあげてください。時に「暗の顔」の情報にはじっくりと話を聞いてあげてください。子供たちは必ず、先生も、親も、地域の方々も自分のことをしっかりと見守ってくれているんだ、ということを感じてくれることでしょう。
 
 新しい年の足音が近づいてきています。今年一年、子供たちの大きく成長しました。子供を応援いただいたすべての皆さんに心から感謝します。来年も「子供が育つ 市民が育つ まちも育つ清瀬の教育」を進めていきます。ご期待ください。

 

教育長 坂田 篤

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