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教育長あいさつ平成30年12月号

 

教育長あいさつ

                      

 

 利他の心

 

    手と手と手 心つながる 冬清瀬(酔花幻)

 


 「自分が安心できる居場所があり、言葉を交わせる相手がいるということは、実は本当に恵まれている環境なのだと僕は思う。逆に言えば、そういう環境を家庭でも地域でも着実に作っていくことが、犯罪や非行を防止するうえで大事なのではないだろうか」

 これは第68回「社会を明るくする運動」~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~作文コンテストで優秀賞、その中でも最高位にあたる「社会を明るくする運動東京都推進委員会委員長賞」に輝いた本市第六小学校6年 鈴田滋大君の言葉です。彼の作文は今年度都内小学生応募総数5,052作品の代表として、全国規模のコンテストに推薦されることになりました。清瀬始まって以来のことであって大変な栄誉です。

 一読して、彼の暖かな眼差しを感じるし、自分が置かれた今の環境が決して当たり前ではないという「感謝」の思いも伝わります。久しぶりに出会った「強き思いを秘めながらも心温まる」作文で、東京都代表の誉れを受けたことが十分納得できる仕上がりです。

 「社会を明るくする運動」は法務省が提唱する、国民レベルで犯罪防止と更生保護の機運を高めていこうとする取り組み。昭和24年、戦後の混乱期から始まった保護司の方々の「志」と「篤」があふれる事業。保護司とは犯罪や非行に陥った人の更生を任務とする法務大臣から委嘱を受けた非常勤国家公務員。「他者のために」という尊き思いによって全くの「無償」で職に当たってくださっています。

 驚くべきことに若干12歳の鈴田君の心の中にもこの「他者視点」が育まれています。「他者視点」とはいいかえれば「相手の立場に立って物事を考えることができる力」。その根底にある感情は「優しさ」とか「思いやり」とか「愛」とかいう「利他の心」に他なりません。

人はものを見つめる目が「You」になったときに本当の成長を迎えるという言葉があります。幼いころは誰もが自分中心に「私がこうしたい」「僕はこれを食べたい」等、主語を「I」にして語ります。それが徐々に「あの子はどう思うだろう」「あの人に何をしてあげるべきか」等、「相手の気持ち」を考えて、すなわち「You」の視点でものを見たり考えたりすることができるようになるのです。もっと成長すると主語を「We」にして物事を考えられるようになります。私たちの学校は、地域は、私たちの国は…。これぞまさに「利他の心」そのものです。

逆に、いつまでたっても「I」の視点でしかものを見たり聞いたり、考えたり判断したりできない人もいます。このような「利己の心」から抜け出せない人は、問題が起きると常に「他者」の責任にします。常に「不満」を口にします。相手の心を慮ることができずにいじめに走ります。

当たり前のことだが人は決して一人では生きていけません。ふと振り返ると私の身の回りのものはほとんどが自分以外の「他者」が作ったものであることが分かるし、今日も、また今この時も自分は沢山の他人に迷惑をかけていることに気づきます。

しかし逆に、私が今やっている仕事で小さな「幸せ」を手に入れてくれる「他者」がいるかもしれませんし、私を頼ってくれる「誰か」もいるかもしれません。そうやって人は「利他の心」を秘めながら、支え・支えられて社会の中で生きているのです。

鈴田君の作文は、私たちにこんな大切なことを教えてくれています。だからこそ彼の作文を読まなければなりません。そして彼の想いを自分ができる方法で広め、深めていかなければならないのです。そうすることこそが私たちの責任であって、彼に対する最大の賛辞になるのではないでしょうか。

*鈴田君の作文「安心できる居場所と心の余裕」は、このホームページの「児童・生徒の作品」に収められています。

教育長 坂田 篤



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