清瀬中学校 私の体験・主張発表会 作文部門 大賞受賞作品

ページ番号2003837  更新日 2021年11月15日

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 清瀬市健全育成委員会が主催する「令和4年度 第37回 私の体験・主張発表会」作文部門で大賞を受賞した作文をご紹介します。

いのち

清瀬中学校 3年生・生徒

 八月十五日、母が自宅で出産した。

 出産までの十か月間は、日々、大きくなる母のお腹を見守りながら過ごした。母のお腹に触れていると、中の赤ちゃんがたまに、キックする。その時、お腹の中に命があると感じる。そんな日々に喜びを感じる一方で、不安も感じていた。調べて分かった、赤ちゃんが産まれてくる前に死んでしまう可能性があるという事実。もしも、新しい家族になるはずだった命が、ある日突然消えてしまったらどうしよう。そんなことを考えた時もあった。

 八月十四日の夜、母が破水。もうすぐ産まれることを頭では理解していたが、夜中の知らせに現実か確信がもてなかった。しばらくすると助産師が来て、一気に自宅が産場になり、ドキドキしていた。赤ちゃんの頭が見えてきて、私も呼吸を合わせるように見守った。そして生まれた。へその緒を首に巻いた赤ちゃんが泣いた瞬間、部屋がぱっと明るくなった気がした。温かいタオルを準備したり、助産師のサポート役にまわったりした。赤ちゃんを初めて抱っこした時、温かく重たいものが肌に伝わり、命のぬくもりを感じられた。赤ちゃんは三キロほどであったが、とても重たく感じた。喜びと感動が湧いてきて、自宅が神聖な場所に感じた。

 その日から、赤ちゃんの声が響く温かい我が家になった。かわいい妹を眺めると幸せな気持ちになった。そんな時、衝撃的なニュースが飛び込んできた。「新型コロナ感染の妊婦、自宅で早産の赤ちゃん死亡」。これを聞いて、はっとした。同じ日、ここでは新しい生命が誕生したというのに、別の場所では新しい命が失われていた。しかも、新型コロナのせいで。すぐ搬送されていたら、適切な処置がされていたら助かったかも知れない。私の妹は生きていたのに、同日生まれたその子は死んでしまった。すごく胸が苦しくなり、「生」と「死」、正反対のようで隣り合わせの事実が頭の中でぐるぐるしていた。

 今日も妹はしっかりと生きている。元気に泣き、しっかりとこの世に生きている。このコロナ禍で、命が失われたり、苦しんでいたりする人々が日々増えているのは事実。そして、懸命に戦っている医療従事者の方々がいる。こんな時代は私の人生でいっときだろう。自分の命、目の前の命を守り、大切にしていきたい。そのために、今、自分にできることを考えて行動したい。

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