教育長あいさつ 令和2年2月号

ページ番号2000022  更新日 2020年8月30日

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写真:教育長

気(き)心(しん)力(りき) 初(しょ)春(しゅん)風(ふう)快(かく) 走る子ら(酔花幻)

42人の勇者たち

「この瞬間を全力で生きる」…、2月2日はそんな「生命の迸り」を心底感じる日曜日でした。こんな思いを抱かせてくれたのは42人の中学生。

彼らは「第11回中学生東京駅伝」に清瀬の代表として出場した選手たち。東京駅伝は東京都教育委員会が主催する年一回のビックイベントで、東京都23区、26市、一町の合計50自治体から選ばれた中学2年生代表による対抗戦です。

結果をまずご報告します。男子は20位、女子は25位。総合24位。50団体出場していますので、真ん中よりちょっと上の戦績…。確かに数字はその通りですが、その裏側には子供たち、そして指導に当たった先生方の、ものすごい「頑張り」がひそんでいるのです。

ご存知の通り、清瀬市は人口75,000、子供の数は5,600の小さな自治体です。中学生の人数は合計1,850人、その内駅伝出場資格を持つ2年生の人数は596人。

方や、23区で最もマンモス自治体の江戸川区は中学生の人数が15,114人、中学2年生は4,948人。26市で一番大きな八王子は、中学生が12,486人、2年生は4,230人。

分母、すなわち選手層は本市の約8倍。単純に考えれば長距離が得意な生徒も本市の約8倍。こんな自治体と競い合うのです。中には選手全員が陸上部という自治体も…。だからどうしても規模の大きな自治体が上位を占めてしまいます。清瀬の中学生たちは全力で挑戦しつつも毎年苦戦の連続でした(ちなみに第10回大会は男子33位、女子32位)。

例年通り、今回も江戸川区は男女とも1位、八王子市は男子3位、女子2位…。上位チームは指定席です。今回清瀬42人の勇者が頑張ったのは、全体の中での順位もさることながら、中学生の総数が3,000、2,000という清瀬より規模が大きな自治体をいくつも打ち負かしたということ。

令和元年度の学校基本調査によると、東京都内には中学生の人数が2,000人以上3,000人未満の自治体が17、清瀬と同規模の1,000人以上2,000人未満の自治体が7あります。

清瀬と同じ1,000人~2,000人の7自治体の中で清瀬の順位は第2位。1,000人~3,000人の26自治体に範囲を広げても清瀬は第4位。本市より下の順位に3,000人~4,000人の自治体が4ありました。いかに選手諸君が、また指導された先生方が頑張ったかお分かりいただけるのではないでしょうか。

順位だけではありません。清瀬市男子は42.195kmを2時間25分26秒で、女子は30kmを1時間58分21秒で走り切っています。これらの記録はすべて清瀬歴代最高タイムです。

清瀬の中学生たちが、どんどん力をつけていることは、トップとの男女総合タイム差で証明できます。第7回大会では17分56秒の差、第8回大会では17分05秒の差、第9回ではちょっと苦戦して24分27秒の差、そして前回第10回大会では17分45秒の差でした。

そして今回の第11回大会トップの江戸川区の総合タイムは4時間07分12秒。これは大会新記録。清瀬市は4時間23分47秒。その差は16分35秒で歴代最小です。全体が底上げされている中、清瀬の子供たちの力はそれ以上に伸びているということです。

このように42人の勇者たちは「新記録」という新たな歴史を一つ創り上げてくれました。なぜ、こんな大活躍ができたのか、それは42人一人一人が「三つの頑張り」をやり切ってくれたからに他なりません。

「頑張る」ことは人間にしかできないこと。そして「頑張る」ことは何にも代えがたい尊きこと。「頑張る」ことで人は力をつけていくし「頑張っている」人は輝きに満ち魅力的。これらは紛れもない事実です。だから人は「頑張ります!」という言葉で自らの決意を表すし「頑張れ!」という言葉で他者を激励するのです。

しかしこのいつも使っている「頑張る」には三つの種類があることは、あまり知られていません。

一つ目の「頑張る」は、他者と競い合うために使う「頑張る」。「絶対に一位を取ってやるぞ!」「あいつにだけは負けない!」「目の前のあの生徒を抜き去ってやろう!」「何があっても後ろのランナーを引き離してタスキを渡す!」…。

二つ目の「頑張る」は、目標とする記録をクリアするために使う「頑張る」。文科省の平均タイム(中学2年男子1500m6分21秒、女子1000m4分45秒)を目標にしてもよいし、練習の時に目標としていたタイムでもよい。中学生日本記録(男子1500m3分49秒、女子1500m4分19秒)に少しでも近づけることを目標にしてもよい。

三つめの「頑張る」は、過去の自分たち(自分)との勝負のために使う「頑張る」。例えば前回大会の順位(男子33位、女子32位)を上回るでもよいし、過去最高タイム(男子:第7回大会2時間26分47秒、女子:第6回大会1時間59分43秒)に挑戦するでもよい。

例えば「これまでの自分は後半スタミナ切れでタイムが落ちた。しかし今日は後半もタイムを落とさずに走り切る」「自分はすぐ諦めてしまい、前の走者を全力で追いかけることができずにいた。しかし今日は絶対にあきらめない」…、といった過去「ダメ出し」をした自分に挑戦すべく「頑張る」ことでもよい。

彼らの「今、この時」と真剣に向き合う姿、限界を超えてでも前の走者を抜こうとする表情、そしてあと100mを歯を食いしばって走りきろうとする姿、そしてそこから得ることができた「結果」こそ、42人が「三つの頑張り」を見事にやってのけてくれたことの証です。

彼らはまさに「三つの頑張り」を通して「自分に与えられた時間」である約10分を「必死にそして全力で生きた」のです。

「神が人に与えた唯一平等なもの、それは時間である」という言葉があります。富める者も貧しき者も、幼き者も老いた者も、身長が高き者も低き者も、英語を話す者も日本語を話す者も、誰もが一分間は同じ一分間。彼らが過ごしたような全力の10分もダラダラと過ごす10分も同じ10分間。その積み重ねである一日24時間も誰もが同じ。

生きるために与えられた一分をどう使うか。一分をどれだけ必死に生きられるか。価値ある一分間を如何に積み重ねていくか…。これぞ「人生」というもの。彼ら42名は「三つの頑張り」を通してそれに気づいてくれたのではないかと信じます。

一日は1440分、一年で525,600分、人生80年とすれば、私が「三つの頑張り」に挑戦できる時間はまだ1千時間以上もあります。「今を必死に全力で生きる」チャンスもたくさんあるはず。

42名の中学生は自らの姿をもって、私たちにこんな決意を抱かせ、同時にとっても大切な宿題を与えてくれたように思えてなりません。

味の素スタジアム上空の真っ青な空は、清瀬の子供たちの成長を称えてくれているようでした。

写真:第11回中学生東京駅伝の様子1

写真:第11回中学生東京駅伝の様子2


教育長 坂田 篤(さかた あつし)

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