教育長あいさつ　令和4年8月号

 

 

今月の「一語」　「休むという漢字を見てごらん」

　様々な説があるようですが、「休」という漢字は「人が木に寄りかかっている様子を表す」という解釈に、私は強く共感します。

数日間の「夏休」を頂きました。以前は、「やすみ」とあらばいつまでもベッドの中で惰眠をむさぼったり、ソファに身を委ねてテレビの画面を眺めたり、いつの間にかうたた寝をしていたり、再び目覚めてボーっとしていたり…。こんな怠惰な時間を過ごしていました。

ある時、ハタと気づきました。こんな「やすみ」方をしていると、身体を「やすめる」ことができても、心は「やすめる」ことはできないということを。
何故だろう…、と考えました。

如何に進化したと言えども、人間は動植物と同じ「生命体」であることに変わりない。キャンプファイヤーの炎を見て敬虔な気持ちになるのも、川のせせらぎやセミの鳴き声に囲まれて懐かしい思いがこみ上げるのも、逆に嵐が近づいてくると不安な気持ちになるのも、暗闇に恐怖を感じたりするのも、己の中に「自然の一員として生きるDNA」が宿っているからに違いない！
そして決意しました。

普段は人工物に囲まれて、自分が「自然に生きる生物」であることなどトンと忘れてしまっているけれど、時々は自然に帰って身体も心も「休ませて」あげよう！

今回の「休み」も、自然の中で蝉の声を聞きながらボーっとしたり、買いだめていた本を読んだり、夏色に染まった景色を眺めたり、妻ととりとめもない会話をしたり、風を感じながら美味しいものを食べたり飲んだりするという、最高に贅沢な「休み」の日々を過ごさせてもらいました。

「休む」ことで、私の中の「自然の一員として生きるDNA」が、ほんの少しだけ目覚め、生きていることへの実感を心に宿してくれたように思います。

「休む」という漢字は、私たちにとっても大切なことを教えてくれているのです。