教育長あいさつ 令和4年1月号

ページ番号2004266  更新日 2022年4月28日

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写真:教育長

 

教育長からの年賀状「新しい年を迎え『よし、今年こそは!』と思っている君たちへ」

 

 

 新しい年「令和4年」が始まりました。清瀬市小中学生の君たちは、どんな気持ちで正月を迎えただろうか。

 「正月」という漢字には「意を正す月」という意味があるそうだ。「意」とは「想い」のこと。「想い」を「正す」ということは、例えば「去年までは苦手な算数から逃げていたけど、今年はちょっと頑張ってみよう」とか、「喧嘩をしてしまったAさんと仲直りする」とか、「今年こそ一番嫌いな『優柔不断な私』とお別れして、いじめをしているBくんに『止めなよ!』と言える自分になる」とか、「これまで思っていたけれどできなかったボランティアを今年は絶対に始める」とか、「不登校で学校にいけなかったけれど、保健室でいいから週一日は必ず登校する」とか、「挫折続きだったダイエットを今年こそ絶対に成功させる!」とか…。こんな「自分を見つめ直して新たな想いを抱く」こと。

 「意を正す」裏側にあるのは「今の自分を変えたい!」「もっと自分の力を伸ばしたい!」「より良い一年にしたい!」という向上心。この「もっと」「より一層」「今よりプラスへ」という「意」はとっても大切。しかし「意を正した」だけでは君たちは変わらない。「行動」に移して初めて「意」が現実のものになるのだ。

 恐らく君たちにとって「正した意」は得意ではない分野だろう(…いや「苦手なこと」といった方がよいかもしれない…)。「苦手なこと」はやりたくない。このやりたくないことを「行動」に結びつけるためには、またそれを継続するには「夢」と「覚悟」と「努力」が必要。

「夢」を宿すには「未来を見つめる眼」を持たねばならない。君たちに一つの数字を示す。それは「65」。この数字の意味が分かっていなければ「未来」は見つめられない。正解は「15年後には今ある仕事の65%が機械化されるだろう」という、英オクスフォード大学の研究チームがはじき出した数字。

「掃除」「調理」「受付」「運転」「レジ打ち」「建物管理」…。今でも多くの仕事を人間に代わって人工知能が担っている。この流れはどんどん加速し、15年後、すなわち君たちが社会の中心になるころには、半分以上の仕事が人間の手から離れるという未来予想だ。

 そんな未来を自分はどう生きるか、生きたいか。「夢」は未来を見つめることで、初めて抱くことができる。

「覚悟を決める」ことはすごく難しい。私たち大人でもなかなかできることではない。だから最初から大上段に振りかぶることなく、先ずは「できること」から少しずつ「やってみる」ことが大切なんだ。

 例えば先ずは机に向かって座り、自分が解ける計算問題を解いてみる。先ずはAさんに「おはよう」と小さい声で言ってみる、例えば一人でできなければ、友達と力を合わせてBくんに「止めた方がいいよ」と言ってみる、例えば最も身近なボランティアである「お手伝い」から始める、例えば決まった時間に通学路を歩いてみる、例えば避けてきた体重計に乗って毎日記録をとってみる…。この「小さな挑戦」ができた時こそ「覚悟を決める」スタートラインについた時に他ならない。

「小さな挑戦」は「小さな覚悟」と共に「小さな自信」を芽生えさせる。「覚悟」「自信」を大きく育てるためには「努力」が必要。「努力」とはまるで薄い紙を一枚一枚積み重ねるようなもの。どんなに薄い紙でも積み重ね続ければ必ず「厚み」を持つ。すなわち「力がついてくる」ということ。当然何もしなければ紙は積まれていかない。「自信」を大きく育てていきたいのであれば、「紙」を積み続けなければ、すなわち汗を流しながら「努力」をしなければ何も進まない。

 でも紙の積み方、汗の流し方には注意が必要だ。それは四隅を正しくそろえて、丁寧に、根気強く積まなければならないということ。四隅をそろえなければ重ねるたびに紙は傾いてくる。そしていつしか倒れてしまう。一枚紙を積む、そして四隅がしっかりそろっているかを確認する、そのうえでまた紙を積む…。このような「正しい汗の流し方」をしなければ何事においても上達は望めない。

 分かっていても、時に丁寧に積むのが面倒くさくなって、手っ取り早く10枚20枚の紙をいっぺんに、また乱暴に積んでしまおうとする人がいる。階段に例えれば二段飛ばしや三段飛ばしで一刻も早く屋上まで行こうとするやり方。君たちもきっと経験したことだろうが、二段飛ばしはコケる可能性が高い。三段飛ばしになると尚更。でも一段ずつ登っていけば時間は必要だけど必ず屋上に着く。

「意を実現したい」と思ったら、そこには「手っ取り早い」という言葉はないと思ったほうが良い。基礎からの積み重ねをていねいに確実にやることこそが「真の力」を蓄えていくのだ。

 薄い紙は積んでも積んでもなかなか「厚み」を実感できない。だから「根気」のない人は途中で積むことをあきらめてしまう。中にはせっかく時間をかけて紙を積み続け、ちょっと厚みが出てきたにもかかわらず、嫌なことがあったからといって積んだ紙をけり崩してしまう人もいる。

「成長曲線」という考え方がある。左の図を見てほしい。人は誰でも努力を始めた後のAの時期は急激に成長する。しかし一定の時間がたつといくら努力しても成長が止まる時期がくる(Bの時期)。それを脱するとまた徐々に上昇し(Cの時期)、その後どんどん力がついていき大きな成長の時を迎える(Dの時期)というプロセスをたどる。すなわちB・Cの時は大きくジャンプするエネルギーをため込んでいる時期なんだ。これはサッカーやバスケなどの「技術」に限ったことではない。勉強でも趣味でも仕事でも、ダイエットでも同じ。

 確かにここが一番苦しい時。しんどい時。加えて厄介なことにB・Cの時期は人によって違う。半月で脱出できる人もいれば一年かかっても抜け出すことができない人もいる。だから多くの人がこのB・Cの時期に「努力しているのに成果が出ないから」といって諦めてしまう。投げ出してしまう。でもこの時期を乗り越えられれば必ずDの時期がやってくる。このことを信じて自分自身と戦う。これが「根気」「あきらめない力」「粘り強さ」というものの正体だ。

 マラソンランナーの野口みずきさんはこう言っている。「走った距離は裏切らない」。また伝説の背番号「1」である元読売巨人軍の王貞治さんは「努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力とは呼べない」という名言を残している。

「正した意」を現実のものとするのは誰の力でもない。君たち次第なんだ。「夢」「覚悟」「努力」…。漢字にすればたったの一文字か二文字。その一文字、二文字の裏側には「大きな意味」が隠されている。きみたちがこの「意味」に真正面から向き合い、一歩を踏み出せる令和4年にしてくれることを心から祈っている。

 清瀬市小中学生の諸君、あけましておめでとう。素晴らしき一年を自らの手で創り上げてください。
 

 

教育長 坂田 篤(さかた あつし)

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