教育長あいさつ　令和7年6月号

今月の「一語」は「童時（わらべどき）と大人時（おとなどき）」です。

 

 

幼き頃の夏休み、友達と遊べない日に決まってやっていたこと。それは縁側の下に住んでいたアリジゴクを観察することでした。一日中、時がたつのも忘れて、この小さな昆虫に見（魅）入っていたことを思い出します。

そのころ、私の時間はゆっくりと流れていました。そしてこの時間は永遠に続くものと信じていたし、時間には限りがある等ということは考えもしませんでした。
じっくりゆっくりと物事と関わりながら、心の中の興味・関心を育てたり、疑問を宿したり、試し、失敗し、また試し…、そんな試行錯誤を繰り返したりしながら「創造の時間」を過ごすことができていくのです。

「時間を追いかけながら生きることができる時」。これこそが「童時」であり、子供の最大の特権であり、子供の生きる根っこを育てる原動力になるのではないでしょうか。

対して今の子供たちは「童時」を生きているでしょうか。ゆっくり、じっくり、時間をかけて感じたり考えたり、試したり自分を振り返ったりする暇もない「時間に追われる日々」を送ってはいないでしょうか。そんな「大人時」に身を置くことで、「興味関心」とか、「試行錯誤」とか、「創造」とかいう言葉をどこかに置き忘れてしまってはいないでしょうか。

そんな子供たちだけでなく、私たち大人をも「童時」に誘ってくれるのが「読書」です。ゆっくり、じっくり、時間をかけて、登場人物と、作者と、そして自分自身と出逢うことができる時間は、まさに「童時」に他なりません。

今、清瀬の小中学校では「読書推進プロジェクト」に取り組んでいます。いくつかの学校では図書室の地域開放も始めました。（詳しくは教育委員会Hpをご覧ください）

皆さんも本を片手に、忘れかけていた「童時」に我が身を置いてみませんか？