教育長あいさつ 令和5年12月号

ページ番号2005686  更新日 2023年12月1日

印刷大きな文字で印刷

写真:教育長

今週の一語は「頑張ることは折り返すこと」です。

 

 

少し季節感が違いますが水泳が苦手なAさんの話です。

一学期のプールでやっと25mが泳げるようになった。私の最高記録。夏休み中のプールでは頑張って更新するぞ!

今日は記録をとる日。ドキドキしながら待つ。いよいよ私の番。「よーい ドン」。泳ぎ始める。

思い切りスタートの壁をける。15mのラインを超えた。あと半分だ。でも苦しくなってきた。息継ぎをすると口から水が入ってくる。20mのラインを超える。もうだめだ。プールの底に足をつけば楽になる。でも悔しい。ギブアップしたくない。「頑張れ 私!」心の中で叫ぶ。「もう少しだ!」「あと10m!」「ファイト!」先生や友達の声もモヤモヤと水の中で響く。

あと4m、あと3m、2m…。25mの壁に手が届く。「やった! 泳げた!」。その瞬間思い出す。「そうだ! 私は新記録を狙っていたんだ!」。苦しくて心臓が口から飛び出そうになりながら、最後の力を振り絞る。折り返して壁をひと蹴り。記録は30m。「やったね 私! 最高記録更新だ!」。

私たちは子供たちに「頑張れ!」とエールを送ります。子供たちも私たちに向かって「頑張ります!」と瞳を輝かせて答えます。「頑張る」とはどういうことなのでしょうか。

ある校長先生の言葉です。「頑張るっていうことは折り返すこと」。自分の限界ギリギリ、最後の力を振りしぼって25mの壁をひと蹴りしたこの行為こそが「頑張る」ということ。

そしてその結果として手に入れた30mの記録、たったプラス5mでもそれが「頑張ったことによる立派な成果」。「やったね 私!」と自分の努力をほめてあげることこそが「頑張ったことに対する最高のご褒美」。

計算問題を10問解こうと決めたけれどもうひと踏ん張りして11問解く。バットの素振りを100回やると決めたら手の豆が痛くても110回やる。30分間集中して読書をしようと思ったら自分の弱き心と戦いながらも35分の集中に挑戦する。マラソンであの電柱までは何があっても走り切るぞと決めたら、歯を食いしばって次の電柱まで走る…、これが「頑張る」ということなのです。

こんな「小さな頑張り」を積み重ねていると「頑張り」の限界がどんどん広がっていきます。30mがさほど苦しくなく泳げるようになるのです。11問の計算問題が時間内にスラスラと解けるようになるはずです。35分の集中が当たり前のようにできるようになるし、「次の電柱」まで走れる体力や精神力が知らず知らずのうちに育っていくのです。

そして次のステップに。クロール35m、計算12問、素振り120回、集中40分、二つ先の電信柱…。そしてまた次のステップに…。

こういった「小さい頑張り」の積み重ねが人を成長させていくのです。

教育長 坂田 篤(さかた あつし)

より良いウェブサイトにするために、ページのご感想をお聞かせください。

このページに問題点はありましたか?(複数回答可)
このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

このページに関するお問い合わせ

教育企画課企画係
〒204-8511
東京都清瀬市中里5-842 清瀬市役所2階
電話番号(直通):042-497-2537
電話番号(代表):042-492-5111
ファクス番号:042-495-3940
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。