1232名の卒業を祝う~コロナは君たちを間違いなく成長させた~

ページ番号2002783  更新日 2021年3月19日

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写真:教育長

 

 

1232名の卒業を祝う~コロナは君たちを間違いなく成長させた~

 

清瀬市立小学校6年生、そして中学校3年生1232名の諸君。卒業おめでとう。心から祝福します。しかしコロナ禍で皆さんの晴れ姿を見ることができません。皆さんに直接声をかけ、それぞれの学び舎から、力強く飛び立っていく姿を目に焼き付けたかったのですが、それが叶わず非常に残念です。

卒業式当日、「教育委員会告示」という文章が配られると思います。しかしそこに書かれている1000字の文章だけでは、皆さんに対する私の想いを伝えきれません。そこでこのような手紙を書き、各校のHpに掲載してもらうことにしました。

すでに12年、15年の歳月をかけて学び、成長してきた皆さんです。少し難しい手紙になるかもしれませんが、最後まで読んで、何かを感じてみてください。考えてみてください。そして感じたこと、考えたことで、行動に移せることが少しでもあったら、実行してみてください。

WHOが中国武漢市において原因不明の肺炎が発生したことを公表したのが昨年1月。アッという間にウイルスが世界中に広まり、多くの尊い命が失われました。オリンピックも延期になり、経済も停滞しました。職を失う人がたくさん現れ、未来を悲観し、自らの手で自らの命を奪うまで追い込まれた人もいました。ウイルスの名は「COVID-19」。これまで人類が出会ったことがない新型コロナウイルスです。

私たちの生活は一変しました。外出の自粛、生活必需品の不足、マスクの常時着用。働き方も変わったし、心を癒す旅行も、人生を豊かにするコンサートも、楽しい会話を交わしながらの外食もできなくなりました。人生の節目である二十歳の成人を祝う会も中止になったし、幸せを皆で分かち合う結婚式すら上げられなかった人たちもいます。

最も悲しかったことは、私たちの命を守るために、全力を尽くしてくださっている医療関係者や、保健所など公的機関に勤める方々への偏見や差別が社会全体で渦巻いたことです。コロナは人にしか持ち得ない「思いやり」や「感謝」の心までも奪い去ってしまったのか…、と暗い気持ちになったのは私だけではなかったはずです。

コロナは小中学生の皆さんからも、「夢」「希望」「楽しみ」「喜び」、そして日常の「当たり前」をたくさん、本当にたくさん奪い去りました。

臨時休校は、友との出会いの喜びや、「よし、今年こそ頑張るぞ!」という決意、最上級生としての誇りや、新しい学びへの期待に「待った」をかけました。思い出として生涯心に残るはずだった移動教室や修学旅行、努力の成果を確認できる運動会や合唱コンクール、自分の可能性を極められる部活動や地域スポーツ、授業、休み時間、給食の時間、放課後…。ありとあらゆる事柄が中止になったり制約を受けたりしました。

登下校でのおしゃべりも、外で元気にサッカーを楽しむことも、家族みんなで田舎のおじいちゃん、おばあちゃんに会いに行くことも、塾の夏期講習で最後の追い込みをかけることも難しい日々になってしまったのです。

そんな中でも清瀬の小中学生たちは、力強い成長を見せてくれました。その証は皆さんの生活そのものの中にあります。マスクをしっかり着けて学校生活を送ってくれています。毎日の健康チェックも欠かさず取り組んでくれています。手洗い、うがいをちゃんと実行してくれています。給食の時は前を向いて黙って食べてくれています。グループで話し合いながら課題を解決していく学習や、家庭科において皆と力を合わせた調理実習ができずともじっと我慢してくれています。

そして生涯たった一度しかない小学校、中学校それぞれの卒業式でも、心を込めて全力で歌ったり、大きな声で感謝の想いを伝えたり、お世話になった先生と握手を交わしたり、共に生活してきた仲間と肩を組んで祝福しあったりすることができない中でも、6年間、9年間の締めくくりの日を、堂々と、そして誇りをもって迎えようとしてくれています。

それは先生の指示だからですか? それとも感染が怖いからでしょうか? 決してそれだけではないはずです。他者のために、社会のために、日本のために、世界のために皆は行動してくれているのです。

「そんなこと意識していなかった…」という人もたくさんいることでしょう。でもちょっと振り返ってみてください。「自分が感染したら一緒に住んでいるおじいちゃんにうつしてしまうかもしれない…」「何で医療関係者に差別するんだろう…」「コロナと共存していくにはどうすればいいんだろう…」「コロナで働けなくなった人たちはどうやって生活していくんだろう…」「先生が学活で話したことは今朝の新聞に載っていた…」。こう感じたり考えたり、気づいたり疑問に思ったりしたことが、必ずあったはずです。

これらの心の動きを言葉にして表してくれた人たちもいます。臨時休校中の「教育長からの招待状」に参加してくれた子供たちがたくさんいました。多くの子供たちが「医療関係者へのメッセージ」を通して社会のために働く人たちを励まし、感謝し、これから自分はどう生きていくのかを伝えてくれました。健全育成委員会の作文や清瀬の100冊読書感想文コンテストでコロナと関連付けながら、自分はどう生きるべきなのかを考え、発信してくれた人もいました。

こんな一つ一つの心の動きや行いこそが、社会に目を向けることができた証なのです。社会の出来事を自分事として捉えることができた証拠なのです。他者のため、社会のため、日本のため、世界のために何ができるかを考え、行動を起こすスタートラインに立ったカッコいい自分自身の姿なのです。

東日本大震災で被災したまちで、ボランティアとして汗を流す中学生の姿を見て、ある方がこんなことを言っています。「こんなにも他者のために力を注いでくれる彼らが、社会の中心となって活躍する10年後、20年後の日本は、きっと固い絆と思いやりあふれる国になってくれるはずだ。彼らは未来のスーパースターだ!」。

皆さんはコロナによってたくさん我慢をしました。しかしその分、強くなったし優しくなった。たくさん学んだし成長もした。まさに皆さんは「未来のスーパースター」の切符を手にしたのです。

さあ、卒業です。また一歩「スーパースターへの階段」を上る時。1232名誰もが「カッコいい人生」を歩んでくれることを心から期待しています。

おめでとう! 1232名に幸あれ!

 

教育長 坂田 篤(さかた あつし)

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