教育長あいさつ　令和3年1月号

 

 

「苦渋の選択」

 

 

　

　「成人を迎えられた732名の皆さん。おめでとうございます。今日という『ハレの日』を心からお慶びいたします…」。1月10日、この言葉を直接皆さんにお伝えしたかった…。心底こう思っています。

　この度の成人記念式典の中止は、市として苦渋の選択でした。皆さんが素敵な晴れ着に、また凛々しいスーツに身を包み、「大人としての第一歩」を力強く踏み出そうと胸を高鳴らせていらっしゃるであろう中、如何にコロナ禍とはいえ、生涯ただ一度きりの祝いの場を閉じることはしたくない…。その姿を目に焼き付け、成長の喜びを噛み締め、心から祝福したいという親御さんたちの想いを何とか叶えたい…。

　そんな思いとは裏腹に、年が改まってからも都内コロナ感染者数は増え続け7日現在2,400人を超えるまでになっています。本市においても160人を超える方々がコロナの被害にあわれています。そのような中、いくら分散開催の形をとったとしても、リスクは抑えきれないのではないか。皆さんの安全を守り切ることができないのではないか。緊急事態宣言が発せられるような状況の中、万が一にでも感染がより拡大し、医療崩壊が起きてしまったら取り返しがつかない事態になってしまうのではないか…。

　式典の事務をつかさどる教育委員会において、また市長を本部長とするコロナ対策本部において繰り返しの議論を重ね、最終的に皆さんの健康と安全が何よりも大切であるとの思いから、清瀬市として「中止」の判断をするに至りました。

　「延期」についても検討を重ねました。しかし一か月間の緊急事態宣言の措置によって、真に「ステージ3」まで状況が改善するのか、疑問を投げかける有識者が少なくない中、またワクチンの接種が始まったとしても、その効果についてはいまだ未知の部分が多い中、具体的な延期のめどを立てることができませんでした。

　私も数年前に成人を迎えた一人の娘の父親です。その折の彼女の姿を思い出すと、皆さんの悲しみが一層私の心に突き刺さり胸が痛みます。そして当時、私自身が感じた喜びや誇らしさを振り返ると、皆さんをこれまで育ててこられたの親御さんたちの落胆は想像を超えるものがあるはずです。

　しかし今こそ、この危機を乗り越えなければならないときでもあります。日本、世界、そして私たちの未来のためにも、何が何でもこの見えないウイルスとの戦いに勝たなければならないのです。
戦国時代の武将山中鹿之助は「願わくば我に七難八苦を与えたまえ」という言葉を残しています。また「艱難汝を玉にす」「可愛い子には旅をさせよ」ということわざもあります。学校や職場の先輩から「苦労は買ってでもせよ」という言葉をもらった人もいるのではないでしょうか。

　そうです。古来、日本人は「困難」を糧にして自らを成長させるという「人生観」を持っていたのです。私たち日本人は、この困難を克服し、もう一度立ち上がり、一回りも二回りも大きく成長させるDNAを間違いなく持っています。そのDNAを覚醒させ、社会の中心となって素晴らしき未来を築き上げるのは、紛れもなく成人の皆さんたちなのです。

　是非、この「国難」を共に乗り越える仲間になってほしいと願うとともに、式典でお伝えできなかった「皆さんの人生に幸多かれ」のエールを、心から祈らせていただきたいと思っています。

　追伸

　私たち教育委員会では、せめて成人を迎えた今日という日の思い出だけでも、皆さんの心に残していただきたいと願い「インスタグラム及びTwitter写真投稿キャンペーン」を実施します。
　また市内の写真館「スタジオサカタ」様より、新成人の皆様を対象に、低価格で記念写真の撮影を行うという、本当にありがたいお話を頂戴しております。
　詳細は清瀬市Hp内に掲載しておりますのでご覧ください。
　加えて、渋谷市長、渋谷市議会議長、そして私教育長坂田、および5校の中学校の恩師の先生方から皆さんに宛てた「お祝いメッセージ動画」もYouTube「清瀬市公式チャンネル」にて1月10日から17日までの期間公開しています。関連リンクから該当のページへ移動できます。是非ご覧ください。